2023.09.12 職員研修

【介護現場のOJT研修】メリットデメリット、成功のポイントは?

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介護職の新人職員への研修として実施されることの多い「OJT」。

指導担当の先輩社員とともに、実際の介護業務にあたりながら実践的なノウハウを教わる研修方法です。

この記事では、そんな介護現場で行われているOJTについて、OJTの流れや目的メリットデメリット成功のポイントなどを詳しく解説します。

介護職のOJTとは?

多くの介護施設や介護事業所で採用されているOJT研修ですが、人によっては初めて耳にするという人もいるかもしれません。

ここではそもそもOJTとは何か、その実施方法や目的などを解説します。

そもそもOJTって何?

OJTはOn The Job Training の略で、直訳通り先輩社員とともに実際の業務を行いながら必要なノウハウを教わる研修のことです。

介護業界に限らず、多くの業界で採用されている研修スタイルです。

OJTは一般的に次のステップで行います。

1.Show(指導者がやって見せる)指導者が実際の業務をやって見せる。新人に業務全体の流れを掴んでもらう。
2.Tell(指導者がやったことを解説する)行った業務の解説をする。業務の目的や、なぜその動作が必要なのかなど「考え方」から伝える。
3.Do(新人が実際にやってみる)指導者が見せた業務を、新人が実際にやってみる。
4.Check(フィードバックする)指導者はよかった点や改善点を、新人は疑問点や不安なところなどを話し合う。

介護業界のOJTの場合、介護施設や訪問介護利用者宅で実際に行っている介護ケアを見ながら学べるため、とくに実践的な知識と技術を習得できます。

またOJTの反対の意味の言葉として、Off-JT(オフジェーティー)があります。

実際の業務から離れたところで行う研修全般を意味し、具体的には企業理念やビジネスマナーに関する研修や、介護業界であれば介護や医療に関する座学研修などもさします。

仕事をする上で必要な包括的な知識をOff-JTで学び、現場で必要な実践的なノウハウをOJTで身に着けるというように、OJTとOff-JTは研修内容に応じて併用されます。

介護職でOJTをする目的

介護現場の新人研修でOJTが行われる目的は主に2つあります。

1.介護現場での実践的なノウハウを習得する

目的の1つ目は、介護現場での実践的なノウハウを習得することです。

介護利用者はそれぞれに生活があり、食事の摂り方、趣味嗜好、持病や服薬など、ケアをする上で把握するべき個別の事柄が多々あります。

とくに訪問介護の現場では介護利用者の自宅に上がるために、個々に決まったルールがあることも多いです。

そうした現場特有の実践的なノウハウは、Off-JTよりもOJTで教える方が効率的と言えます。

2.業務を滞らせずに新人育成をする

目的の2つ目は、通常業務を滞らせずに新人育成をすることです。

多くの介護施設・介護事業所では人手不足になっており、新人指導をする先輩社員が通常業務ができなくなると、介護利用者に必要なケアが行き届かなくなる恐れがあります。

そのため、実際の業務を行いながら新人の教育をするOJTが必要になります。

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介護現場でOJTをするメリット3つ

介護職の研修でOJTを採用することにはいくつかのメリットがあります。

1.即戦力を育てられる

2.個人の特性に合わせた教育ができる

3.指導側の成長に繋がる

それぞれ詳しく解説します。

1.即戦力を育てられる

介護職のOJTのメリット1つ目は、現場で業務にあたれる即戦力を効率よく育成できる点です。

公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」によると、新たに介護業界へ転職した人の約3人に1人が業界未経験であることがわかりました。

参考:転職した介護労働者の3人に1人以上が介護業界未経験

OJTを通して先輩が実際に業務を行っている様子を見ることで、業界未経験の新人職員でも仕事の流れが掴みやすくなります。

また現場ごとにあるルールや介護利用者個別の事情も把握できます。

OJTを行うことで実用性の高いノウハウが短期間で身につき、一人前として成長できます。

2.個人の特性に合わせた教育ができる

介護職のOJTのメリット2つ目は、個人の成長スピードや習熟度に合わせた教育ができる点です。

複数人で行う座学の研修では、教える内容は一律のものとなり、人によっては理解しきれない部分を残すことがあります。

その点、OJTは基本的に指導担当と新人のマンツーマンです。

新人職員の介護知識や職歴などに合わせ、研修計画や教える内容を臨機応変に変えるなど、OJTなら個人に合わせた教育ができます。

3.指導側の成長に繋がる

介護職のOJTのメリット3つ目は、OJTの指導者側になった介護職員の成長を促せる点です。

OJTの指導担当として、新人職員の教育にあたることをきっかけに、自分自身の介護ケアの見直しや、後輩指導などマネジメント業務の経験を積むことができます。

OJTは新人社員の育成だけでなく、先輩社員のキャリアアップにも繋がるのです。

介護現場でOJTをするデメリット3つ

介護職で重視されるOJTですが、実施する前に把握しておくべきデメリットもあります。

1.指導側の負担が大きくなりがち

2.OJTの効果は人次第でバラつきやすい

3.業務の全体像を体系的に学ぶのには不向き

それぞれ詳しく解説します。

1.指導側の負担が大きくなりがち

介護職のOJTのデメリット1つ目は、OJTの指導担当になった介護職員の負担が大きくなりやすい点です。

通常業務にあたりながら新人教育をするOJT研修であっても、普段はない業務をこなしている状況には変わりません。

新人教育へのプレッシャーや、OJTを実施することで普段より業務に時間がかかることが、指導担当社員の負担になっていることがあります。

2.OJTの効果は人次第でバラつきやすい

介護職のOJTのデメリット2つ目は、新人職員や指導担当次第でOJTの効果にバラつきが出やすい点です。

新人職員の介護歴や職歴、理解力や応用力などは個人によって異なります。即戦力としてすぐに一人立ちできる新人もいれば、じっくりOJTを繰り返す必要がある新人もいるでしょう。

また指導担当の職員も、新人教育の経験の有無や、論理的で具体的な説明ができるかどうかなど、指導力にはバラつきがあります。

どのように新人教育を行えばいいかわからず、業務を優先しすぎて新人社員が放置される、という事態も起こり得ます。

OJTの効果は一律になるものではなく、人が変われば効果も変わることを前提にする必要があります。

3.業務の全体像を体系的に学ぶのには不向き

介護職のOJTのデメリット3つ目は、OJT内で業務の全体像を体系的にとらえるのは難しい点です。

OJTは介護現場で実践的なノウハウを習得するのには非常に有効です。

その一方で、業務全体を俯瞰して把握することはOJTの時間では難しいと言えます。

業務全体を体系的に教えたい場合は、Off-JT(座学研修)の併用が不可欠と言えます。

介護現場でOJTを成功させるためのポイント5つ

ここからは介護現場でOJTを成功させるために知っておきたい、重要なポイント5つを解説します。

1.OJT計画表やチェックシートを用意し指導側・新人に共有する

2.フィードバック面談を行う

3.職場全体でバックアップする

4.「考え方」を教える

5.Off-JTと併用する

ひとつずつ解説します。

1.OJT計画表やチェックシートを用意し指導側・新人に共有する

OJT成功のポイント1つ目は、OJT計画表やチェックシートを用意し、指導担当・新人など当事者全員に共有しておくことです。

研修を始める前に、教えるべきことをリストアップしスケジュールを立てましょう。

何を、いつまでに、誰が教えるのか、といったところまで決めておくことがベストです。

それを指導担当者全員で共有し、どこまでOJT計画が進んでいるのか一元管理できれば、指導内容の抜け漏れや重複を防ぐことができます。

また新人にも共有すれば、いつまでに何ができるようになればいいのか目標が明確になり、モチベーションの向上に繋がります。

職場で「OJT計画表のフォーマット」をひとつ作っておくと、その後別の新人・入職者のOJTでもカスタマイズして使いまわせます。

チェックシートやOJT計画表をどのように作ったらいいのかわからない、という人は、厚生労働省が作成した「職業能力評価シート」や、インターネットにアップされているフォーマットを参考にするとよいでしょう。

介護のOJTチェックシートについて詳しい記事はこちら>>

2.フィードバック面談を行う

OJT成功のポイント2つ目は、OJTの後は必ずフィードバック面談を行うことです。

OJTでは業務の説明と実践がメインになります。

指導担当からのよかった点・改善点の共有や、新人からの疑問・不安の吸い上げなどは、現場だけでは不十分になることがほとんどでしょう。

また新人社員は新たな職場環境で緊張や不安を抱えていることが多く、コミュニケーション量が必要な時期です。

ごく短時間でもいいのでOJT後はフィードバックを行う面談を行い、指導担当と新人が意見や感想を話し合える時間をとるようにしましょう。

3.職場全体でバックアップする

OJT成功のポイント3つ目は、OJTを職場全体でバックアップすることです。

OJT研修は当人たち任せで、担当外の社員や管理者は無関心…という状況は、指導担当社員の負担が増大して離職のきっかけになったり、新人職員がうまく職場に馴染めない等の問題に繋がります。

指導担当社員の業務を一時的に他社員に割り振ったり、担当外の社員も新人社員にこまめにコミュニケーションを取るなど、組織全体でOJTをバックアップする配慮が必要です。

4.「考え方」を教える

OJT成功のポイント4つ目は、「考え方」を教える意識を持つことです。

介護現場でのOJTで、やり方だけを教えその通りに実践することばかりを求めると、応用が利かない人材になる恐れがあります。

OJTでは具体的な方法のほか、なぜこのやり方でやるのか、なぜこの判断になるのか、といった「考え方」の部分を教えることで、実際の介護現場で臨機応変な判断と対応ができる社員を育成できます。

5.Off-JTと併用する

OJT成功のポイント5つ目は、Off-JT(座学による研修)と併用することです。

介護職のOJTは、実際の介護の現場で、介護サービス利用者を相手にケアを行うことがメインです。

そのため、たとえば基礎的なビジネスマナーや企業理念、その他介護ケアに必要な医療知識に関することなどをOJTで教える時間や労力はほとんど取れません。

OJTを円滑に進めるためにも、管理者による入社時のオリエンテーションや外部の研修サービスを利用したOff-JTも組み込むことが必要です。

介護職員のスキルアップに役立つ研修8選を読む>>

介護職のOJTに関するよくある質問

Q.介護現場のOJT研修で指導者側はどんな人がやるべきですか?

A. OJTでは、介護未経験者にもわかりやすく、なぜこれをやるのかといった考え方を含めて実践的なノウハウを伝える必要があります。

そのため指導担当は介護に関する高いスキルや知識があることよりも、新人職員の気持ちに寄り添いながら、理解しやすいように伝えられる人が向いていると言えます。

Q.OJTと「プリセプター制度」は何が違うの?

A. プリセプター制度とは、看護業界で用いられることが多い新人育成制度のひとつです。

ひとりの新人職員に対し指導担当の先輩がマンツーマンで仕事を教え、悩みや不安などのフォローなども行います。

OJTとは実際の業務にあたりながら行う研修全般をさすので、プリセプターとはOJTのひとつのスタイルと言えます。

【まとめ】介護現場のOJTを効果的に行おう

この記事では介護職のOJTに関して、目的やメリットデメリット、成功させるポイントなどを解説しました。

最後に記事内容のおさらいです。

OJTとは実際の介護現場で先輩社員から業務に必要なノウハウを教えてもらう研修です。

介護現場での実践的なノウハウを習得する」「業務を滞らせずに新人育成をする」といった目的があります。

介護現場でOJTを行うことには、次のメリットとデメリットがあります。

▼メリット

1.即戦力を育てられる

2.個人の特性に合わせた教育ができる

3.指導側の成長に繋がる

▼デメリット

1.指導側の負担が大きくなりがち

2.OJTの効果は人次第でバラつきやすい

3.業務の全体像を体系的に学ぶのには不向き

介護職のOJTを成功させるには次のポイントがあります。

1.OJT計画表やチェックシートを用意し指導側・新人に共有する

2.フィードバック面談を行う

3.職場全体でバックアップする

4.「考え方」を教える

5.Off-JTと併用する

人手不足を解消し、介護サービス利用者へ円滑にケアをするためには、新人職員へのOJTの成功は大きな課題です。

これから新人指導を担当する人、また新人職員として入職する人も、OJTの目的や成功のポイントを抑えて周囲と協力しながらOJTを成功させましょう。

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