2023.12.18 職員研修

【介護の年間研修計画とは】法定研修の内容や計画書の作成方法を解説

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介護事業所で作成を義務付けられている「年間研修計画」
この記事は、「年間研修計画を作りたいけれど、どこから手を付けていいかわからない」、「研修計画にどんな研修を組み込めばいいのかわからない」といった疑問や悩みを抱えている事業所管理者の方に役立つ内容になっています。

具体的には、介護の年間研修計画とは何かといったそもそもの部分や、組み込むべき法定研修の内容計画書の作り方などを解説します。
最後まで読めば、きっとスムーズに年間研修計画の準備ができるはずです!

介護職員の年間研修計画とは?

介護職の年間研修計画(全体研修計画)とは、介護職員のスキルアップや知識向上のために行われる研修の年間スケジュールです。
介護事業所ごとに毎年度作成が義務付けられています。
目的が職員全体の介護スキルの向上なので、研修内容は基本的な知識や技術、介護現場で起きうるトラブル防止や対処法など、介護に携わる人たちが知っておくべき内容を実施します。

厚生労働省から義務付けられている

介護事業所で職員全体に研修を行う(または外部研修を受講するように取り計らう)ことは、厚生労働省が定めた次の運営基準により定められています。

・第30条「勤務体制の確保等」

・第30条の2「業務継続計画の策定等」

・第31条「衛生管理等」

・第37条の2「虐待の防止」

また、行政が行う運営指導(実地指導)時には、実際に研修が実施されているか確認されます。
研修実施の確認は、口頭ではなく資料や文書によるものです。「年間研修計画書」「研修の資料」「参加表」などを用意する必要があります。

「個別研修計画」とは異なるもの

年間研修計画と混乱しがちなものとして「個別研修計画」があります。
個別研修計画とは、職員ひとりひとりのスキルアップのために個別に設定する研修計画です。
また特定事業所加算の算定要件として定められています。年間研修計画が職員全体に向けた基本的な知識・スキルを身に着ける内容なのに対して、個別研修計画は個人の目標や関心に合わせて設定します。最低年に1度は研修を受ける必要があります。年間研修計画と個別研修計画は別物で、特定事業所加算を申請する際にはそれぞれ作成が必要になります。

特養・訪問介護・通所介護で違う?

特養や訪問介護、通所介護(デイサービス)など、介護事業所の形態が異なれば、提供する介護サービスの内容も異なります。
そのため、各業態の介護職員にとって必要な研修内容もそれぞれ少しずつ異なります。
年間研修計画の必要性は変わりませんが、研修内容は各業態の必要に応じた法定研修(必須研修)から決定しましょう。

介護支援専門員(ケアマネージャー)の法定研修は令和6年度から見直し

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年間研修計画に入れる介護職員の法定研修

次に、介護職員の法定研修(必須研修)と、それぞれどのような内容の研修を行うのか解説します。

認知症及び認知症ケアに関する研修

認知症に関する基本的な知識や、認知症ケアの基本的な技術に関する研修です。

▼内容の例
・認知症とは
・認知症ケアの基本知識と技術
・最新の認知症に関する情報

プライバシー保護の取り組みに関する研修

介護現場では利用者のプライバシーや個人情報に触れる機会が多くあります。
介護職員がプライバシーや個人情報に関して正しい知識を持てるようにする研修を実施します。

▼内容の例
・個人情報やプライバシーとは何か
・個人情報の取り扱いに関するルール
・介護現場で起こるプライバシー侵害の事例
・介護現場で起こる個人情報漏洩の事例

接遇に関する研修

介護サービス利用者やその家族などへの接遇を学ぶ研修です。

▼内容の例
・接遇の必要性
・接遇の基本(表情、身だしなみ、態度など)
・ラポール形成とは

倫理及び法令遵守に関する研修

介護職員が、サービス利用者やその家族に対して倫理的で法令を遵守した行動を取るための研修です。また頻繁に改正、追加される介護関連の法律や条例についてもおさえます。

▼内容の例
・介護職員にとっての倫理とは(日本介護福祉士会倫理綱領、倫理基準が参考になります)
・介護職員が知っておくべき法律や制度
・介護保険法について

事故発生・再発防止に関する研修

介護現場での事故発生時の対処や、再発防止のための心得に関する研修です。

▼内容の例
・リスクマネジメントとは
・ヒヤリハットの分析
・リスクへの具体的な対策、管理方法について

緊急時の対応に関する研修

介護現場での緊急時や急変時の対処方法について学ぶ研修です。

▼内容の例
・介護現場で医師に報告が必要な緊急時、急変時とは
・緊急時、急変時の具体的な対応

感染症・食中毒の予防と蔓延防止に関する研修

介護現場で感染症や食中毒を発生させないための知識や、出た際に施設内で蔓延させないための知識、具体的な対処法について学ぶ研修です。

▼内容の例
・施設や訪問先での感染症や食中毒の予防方法
・感染症や食中毒が発生した場合の対応

介護予防及び要介護度進行予防に関する研修

介護サービス利用者の健康を維持し、介護予防や介護度の進行予防をすることの重要性や具体的な方法を学ぶ研修です。

▼内容の例
・介護予防とは
・介護予防のための具体的なケア
・介護度進行予防のための具体的なケア

ターミナルケアに関する研修

特に介護療養型医療施設(介護療養型医療病床)などで必要になる、ターミナルケアの知識や心構えに関する研修です。

▼内容の例
・ターミナルケア(看取り介護)の基礎知識
・ターミナルケアの方針決定について
・看取りき期における、介護サービス利用者と家族への寄り添い方

業務継続計画(BCP)

BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や感染症の蔓延など不測の事態が起きても、利用者の食事、排泄ケア、与薬など重要な事業を中断させない、または早急に復旧させるための手順や計画のことをさします。
またBCPの策定は、2024年4月に完全義務化されます。

参考:厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」

業務継続計画(BCP)とはなぜ必要か、具体的にどういった行動を取るかに関する研修です。

▼内容の例
・BCP(業務継続計画)とは
・非常時のために今からできることとは
・非常時の具体的な行動

高齢者虐待防止・身体拘束廃止に関する研修

高齢者虐待防止関連法に関する知識と、虐待防止や身体拘束の廃止のための知識や心構えに関する研修です。

▼内容の例
・高齢者虐待防止関連法について
・身体拘束と虐待の関連
・不適切なケアとは

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介護職の年間研修計画の作り方

介護事業所には年間研修計画の作成義務があるのはわかっても、実際どう作ったらいいのかわからない・・・という人のために、年間研修計画の具体的な作成方法を紹介します。

1.年間研修計画表のフォーマットを用意する

年間研修計画を一覧で見られる表を用意します。
年間研修計画表のフォーマットに決まりはなく、各事業所で作成して問題ありません。
ただし、次の項目が入る表にしましょう。

・実施月
・研修科目(研修名)
・講師担当者( 内部で実施する場合)
・受講対象者

実地指導で提出することを前提に、誰が見ても「いつ、どんな研修を、誰が、誰を対象に行うのか」が明確な計画表を用意しましょう。

▼年間計画書フォーマットの例

予定月研修内容講師担当者受講対象者
〇月〇〇〇〇
〇月〇〇〇〇
〇月〇〇〇〇

参考:厚生労働省「職員研修計画」

また、エクセルなどを使って表を作るのは苦手という人は、インターネット上で無料公開されている研修計画表をダウンロードすると簡単です。

2.実施する研修を決める

計画書のフォーマットが用意できたら、次は実施が必要な研修科目を決めていきます。
研修科目は、法定研修を中心に、自事業所で必要な研修を考えながら決定しましょう。
すべて社内で実施する必要はなく、社外で実施される研修を組み込んでも大丈夫です。
実施頻度の規定は特にありませんが、最低月1回は行えるようにスケジュールを組みましょう。

3.現場とスケジュールの調整を行う

研修計画を立てても、現場と都合が合わずに参加者がいないのでは本末転倒です。
具体的なスケジュールを決める際には、必ず現場の意見を聞いたりシフトの状況などを見ながら研修計画を見直しましょう。
職員に講師をお願いする場合も、ひとりひとりと意思疎通を取って同意してもらうことが大切です。
現場の職員と確認しながら、業務に滞りがないように研修計画を立てていきましょう。

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介護職の年間研修計画に関するよくある質問

Q.訪問介護の必須研修項目は何?

A.次の項目が挙げられます。
・認知症、認知症ケアに関する研修
・個人情報、プライバシー保護に関する研修
・接遇
・倫理、法令遵守に関する研修
・事故発生、再発予防に関する研修
・BCP(業務継続計画)に関する研修
・感染症、食中毒に関する研修
・高齢者虐待、身体拘束廃止に関する研修

Q.デイサービスの必須研修項目は何?

A.次の項目が挙げられます。
・認知症、認知症ケアに関する研修
・個人情報、プライバシー保護に関する研修
・接遇
・倫理、法令遵守に関する研修
・事故発生、再発予防に関する研修
・BCP(業務継続計画)に関する研修
・感染症、食中毒に関する研修
・高齢者虐待、身体拘束廃止に関する研修
・.介護予防、要介護度進行予防に関する研修

【まとめ】介護の質向上につながる年間研修計画を策定しよう

この記事では介護職の年間研修計画に関して、法定研修(必須研修)の内容や年間研修計画の作成方法などを解説しました。
最後に介護事業所の年間研修計画のポイントをおさらいします。
・介護事業所では介護職員のスキルアップや知識向上を目的に、年間研修計画の作成が義務付けられている

介護職員の年間研修計画とは?>>

・個人のスキルアップを目的とした「個別研修計画」とは別に用意する必要がある

「個別研修計画」とは異なるもの>>

・研修内容は「法定研修」から自事業所の業態に適した科目を実施する

年間研修計画に入れる介護職員の法定研修>>

・年間研修計画は、「何月、どの研修科目を、誰を講師として、誰を対象に行うか」がわかるフォーマットにする

計画表のフォーマットを用意する>>

・具体的なスケジュールは現場と意思疎通を行いながら決定する

現場とスケジュールの調整を行う>>

ぜひこの記事を参考に、自事業所の介護ケアの質向上につながる年間研修計画を作成してみてください。

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