【データで解説】法定研修受講が介護現場での実践に役立つ
日本能率協会総合研究所が令和5年3月に発表した「介護福祉士のキャリアモデルとリーダーとしての役割に応じた研修活用の在り方に関する調査研究事業」において、介護福祉士のキャリアアップと研修の活用に関するアンケート調査が行われています。その調査から、研修の受講についていくつかご紹介していきます。
法定研修の受講について、「認知症介護実践研修(実践者研修)」では、「受講済み」が37.1%、「意向あり」が34.3%と7割強の人が受講済みもしくは受講を検討していることがわかりました。一方で「認知症介護実践研修(リーダー研修)」については「受講済み」が13.4%、「意向あり」が37.1%と半数にとどまっています。「ユニットケアリーダー研修」については「受講済み」が7.8%、「意向あり」が24.6%、「介護福祉士ファーストステップ研修」は「受講済み」が16.4%、「意向あり」が27.4%とこちらも約半数にとどまっていました。
またいずれの研修についても、受講時期は、入職10年未満が8割程度を占めており、特に入職5~10年の間で研修を受ける人が多くなっていました。
研修の受講数が多いほど、現場での実践度が高くなる傾向
次に研修内容の実践状況を見ていきます。研修を受けた内容を実践できているかという問いに対し「ユニットケアリーダー研修」が若干低いものの、おおむね7割程度が実践できていると回答しています。
研修別で見てみると、「認知症介護実践研修(実践者研修)」では、「実践できている」が23.3%、「どちらかというと実践できていることが多い」が46.4%と7割を超える人ができていると回答。「認知症介護実践研修(リーダー研修)」では、「実践できている」が20.7%、「どちらかというと実践できていることが多い」が 47.3%、「介護福祉士ファーストステップ研修」についても「実践できている」が22.2%、「どちらかというと実践できていることが多い」が47.7%で7割の人が実践できていました。一方、「ユニットケアリーダー研修」については「実践できている」が15.2%、「どちらかというと実践できている」が37.1%と実践できている人は半数にとどまっています。
実践状況と受講数との関係をクロス集計で見てみると、受講数が多いほど、実践度が高くなる傾向が見られました。つまり、研修が介護現場での実践に役立っていることを示すものといえます。
研修受講で「自信がついた」一方、一部でキャリアアップに結びついていない現状も
研修を受講したことによって、どう変化が見られたのかについても尋ねています。
「苦手なことが克服できた」「自信が持てるようになった」「仕事にやりがいを感じるようになった」「仕事に対するモチベーションが向上した」といった自分自身に関する項目は50%を超えており、受講者自身が成長を実感していることが伺えました。
その一方で「上司からほめられることが増えた」「人事考課の評価が上がった」「リーダーに抜擢された/職位が上がった」といった他者からの評価に関する項目は40%を下回っていました。「介護の現場で働き続けたいと思うようになった」という項目において「そう思う」「どちらかというとそう思う」が半数程度、また「キャリアイメージが明確になった」という項目での「そう思う」「どちらかというとそう思う」が3割程度という結果から、研修を受講したとしても、それが評価や人事考課、ひいてはキャリアアップへ結びついていない現状が見えてきました。
日本能率協会総合研究所「介護福祉士のキャリアモデルとリーダーとしての役割に応じた研修活用の在り方に関する調査研究事業」(高齢者施設・事業所等に勤務する介護福祉士が対象。調査期間:令和4年11月22日~令和5年1月10日、有効回収2523件、ウェブ回収)
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