【改めて学ぶ】特養における「法定研修」の意義とは
介護事業所の多くが人材育成の一環として研修を実施しています。しかしながら、研修に満足しているのは19.5%(令和元年度介護労働実態調査労働者調査データ)と少なく、事業所と働くスタッフとの意識には大きな隔たりが存在しています。介護職員処遇改善加算の取得要件に研修の実施が課せられており、研修の重要性は年々増してきています。
今回は研修の種類について確認していきます。研修には、大まかに分類すると各種法令等に基づく「法定研修」と、それ以外の「法定外研修」があります。法定研修は、各種法令等に基づき、施設や事業所が必ず実施しなければならないもので、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日/厚生省令第46号)の第24条第3項には「特別養護老人ホームは、職員に対し、その資質向上のための研修の機会を確保しなければならない」と規定されています。また、社会福祉士及び介護福祉士法第47条の2には「社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に務めなければならない」と資質向上の責務について規定されています。
法定研修と法定外研修の違いは?
法定研修は、施設や事業所等が対人援助業務を行う上で、守らなければならない最低限の基本事項の研修であり、職員の資質を一定以上に保つこと、さらに向上を図るための研修として重要な意味を持っています。
その具体例としては以下のようなものがあります。
・感染症、食中毒予防の研修、事故防止の研修
厚生省老人保健福祉局長による老発第214号「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日)では、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日/厚生省令第46号)第26条第2項に基づく「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修」を定期的に開催し、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である、としています。また、同基準第31条第1項に規定する事故が発生した場合の必要な措置についても「自己発生の防止のための職員に対する研修」を年2回以上開催すること、としています。
・高齢者虐待防止の研修
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)では第20条で「養介護施設の設置者又は養介護事業を行う者」が養介護施設従事者等の研修を実施すること、としています。
これ以外にも、ユニット型特別養護老人ホームの常勤ユニットリーダーは、ユニットリーダー研修を受講した職員を配置することとされていたり、認知症対応型共同生活介護の計画作成担当者には研修修了の要件が課せられています。このように特定の職員の要件として研修が義務付けられていることもあります。
これらに対し、法定外研修は、コンプライアンス研修や職員の健康やストレス管理のためのメンタルヘルス研修等があります。必ず実施しなければならないというものではありませんが、社会的にも必要性の高いものであるといえます。
法定研修と法定外研修を結びつけることで相乗効果も
法定研修として行われる事故防止、感染症予防、虐待防止等の研修は、福祉職として十分に理解しておく必要がある内容です。介護技術や多職種連携などの法定外研修などと関連させることで、研修効果はさらに高まります。それぞれの施設や事業所の実情と照らし合わせながら、法定研修と法定外研修をうまく組み合わせ、相乗効果を図るようにしましょう。
参考資料:公益財団法人 介護労働安定センター「研修計画作成の手引き」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
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