介護運営法人 半数以上がキャリアパスを構築も、研修体系整備わずか26.2%
東京都社会福祉協議会が法人本部が都内に所在する261法人を対象に行った「令和3年度 民間社会福祉施設 人事・給与制度に関する調査」で明らかになった、社会福祉法人における人事管理や人事育成の取り組み実態を解説します。
人事管理や人事育成の取り組みについて、「人事考課を実施している」法人が63.6%、「キャリアパスを構築している」と回答した法人は56.7%、「研修体系を作り、キャリアパスに応じた受講を薦めている」と回答した法人も51.3%と半数以上となった一方で、「キャリアパスを反映した給料表を適用している」法人は34.9%、「ジョブローテーションを定期的に実施」している法人は15.3%と少数にとどまっていることが明らかとなりました。
介護のみ運営の施設に限ると「キャリアパスを構築している」法人は56.1%と全体と同程度であったのに対して「研修体系を作り、キャリアパスに応じた受講を薦めている」と回答した法人については26.2%と大幅に低い結果となりました。
東京都社会福祉協議会「令和3年度 民間社会福祉施設 人事・給与制度に関する調査」より
また、人事考課を実施している法人のうち、情意評価、職能評価は共に86.1%、業務評価は78.1%の法人が取り入れており、多くの法人で複数の指標によって人事考課を行っていることも分かりました。
職員定着・人材育成のために実施していること
同調査では、職員定着・人材育成のために実施していることも訊ねており、下記のような項目が挙がりました。
・キャリアパスの構築、キャリアアップ研修体系に基づく研修の実施
・一人ひとりの人材育成計画(目標管理シート)の作成、定期的な本人面接の実施、人事考課制度の導入
・プリセプター制度、メンター制度、エルダー制度、チューター制度、バディ制度、OJT担当者等による新入職員の育成
・職員育成マニュアルの作成・改定
・資格取得支援(研修補助、研修休暇、受験料補助等)、有資格者手当の充実
・育児休暇・介護休暇を取得しやすい環境整備
・ライフワークバランス推進のためシフト勤務の免除、短時間職員制度、準職員制度の導入等
・メンタルヘルス対策(相談窓口設置、ストレスチェック体制、産業医、産業カウンセラー配置等)
・福利厚生制度の充実(福祉医療機構の退職制度の全職員加入、福利厚生センター加入、職員宿舎借り上げ事業による家賃負担軽減個人確定拠出年金の導入等)
・職員参加による法人運営を進めるための取り組み(法人の計画策定への職員参加、法人内の職員交流への支援、職員チームによる採用・定着のための活動等)
人事管理制度や人材育成制度についての課題や今後改正したい事項
一方で、人事管理制度や人材育成制度についての課題や今後改正したい事項については、下記のような項目が挙がりました。
・法人や施設の状況に応じた就業規則や給与表等の見直し、法人内での統一化
・キャリアパスの構築、階層別研修体制の強化
・小規模法人におけるキャリアパスと人事考課、人事異動の在り方
・人材育成制度と人材育成制度の構築
・人事考課制度の検討・導入(評価者研修、評価期間、評価の数値化・標準化、面談・研修にかかる時間の確保)
・職員の安定的確保、新入職員の早期離職防止、職員(中間層)の育成・定着、管理職の高齢化、管理職を担える職員の育成、外国人労働者の確保・育成 ・組織における世代間バランス(職員の高齢化、若年層の割合の減少)
・高齢者雇用安定法改正に伴う課題(定年の引き上げ、再雇用制度)
・人事管理制度の構築と多様な働き方への対応(育児・介護しながら働ける体制づくり、産休・育休対応における職員確保、労務管理と福利厚生)
・処遇改善手当の導入による職種間の格差の是正
・人件費の増大への対応・コントロール
みなさんの法人では人材育成のために実施しているのはどのようなことで、課題は何でしょうか。こうした調査から自らの施設を振り返るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
【出典】
東京都社会福祉協議会「令和3年度 民間社会福祉施設 人事・給与制度に関する調査」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
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