【改めて学ぶ】介護現場における「研修の意義」とは?
人材育成の一環として、多くの事業所が研修を実施しています。しかし研修に満足しているスタッフの割合は多くはありません。令和元年度介護労働実態調査労働者調査データでは「満足している」と回答した人はわずか19.5%に留まっています。とはいえ、介護職員処遇改善加算の取得要件には、研修実施が課せられており、その重要性、そして、内容や方法の充実や効果的な研修が期待されていくことが予想されます。公益社団法人介護労働安定センター『[令和2年度]研修計画作成の手引き』から、研修の意義について改めて学んでみましょう。
研修は「理念の実現」のために存在する
研修を行うときに、大前提として頭に置いておく必要があるのは、事業所の理念です。研修は、理念の実現のために存在しています。理念を実現するためには、現在のスタッフに何を教育する必要があるのか、学ぶべき必要や知識や技術はどのようなものか道筋を立てていくことができるでしょう。
例えば、「利用者本位」「連携」といった理念を掲げる事業所の地域課題として「重度認知症の受け入れ施設が十分に揃っていない」というものがあるとします。自法人で受け入れるためには何が必要が検討し、認知症介護指導者をはじめとする高度な知識を持った人材の育成が課題、と至れば、認知症介護のためのカリキュラムが浮かび上がります。
研修には「法定研修」と「法定外研修」がある
研修には、各種法令等に基づき、施設や事業所が必ず実施しなければならない法定研修と、それ以外の研修(法定外研修)があります。
法定研修には、感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための研修、感染対策研修、高齢者虐待防止研修、ユニットケアリーダー研修等が該当します。法定外研修は、コンプライアンス研修や職員の健康・ストレス管理のためのメンタルヘルス研修がそれに当たります。
法定研修として行われるものは、事故防止や感染防止、虐待防止など福祉職として心得ておく必要がある重要な研修ですが、組織力を向上させるような多職種連携研修などの法定外研修と結びつけることで研修の効果は高まります。相乗効果を図れるような組み合わせを事業所それぞれで検討していく必要があります。
「何を教えるか」ではなく「どう育てるか」
実際に研修を計画する際に大切になるのは、何を教えるかよりも「どう育てるか」という視点です。研修(Off-JT)、現任訓練(OJT)、自己研鑽(SD)のサイクルを回していくことで、問題を問題として認識し、実践して、さらに自らが感じた必要性に従って研鑽を積んでいくことで、事業所が求める理想的な人物像、さらにはスタッフが求めるキャリア形成を積んでいくことができます。
そのために、研修は、階層、職種、勤続年数別に行い、最終的にスタッフ本人が自ら学ぶ姿勢を強化するようなものになることが理想です。一方、個々のスタッフに対しても、今後どうなっていきたいのかというキャリア形成の視点を持って学ぶことを意識付けることが大切となります。
研修は年間の計画をもとに、月々の計画を立てていくと効果的です。長期的な展望から研修期間を検討し、具体的な研修期間を設定します。団体の理念における位置づけから、年間計画における位置づけ、さらに職員個人のキャリアパスにおける位置づけと逆ピラミッド型で検討していきます。
最近では、zoomなどを用いたオンライン研修が注目されています。自宅で気軽に受講できることから、勤務調整もしやすいため、受講する側、法人側にとっても効率的です。オンライン研修は、講義型のものだけでなく、演習型、グループワークにも役立つという声が聞かれています。研修を計画をする上で、時間的な問題がネックとなる場合は、オンラインを活用するという方法もひとつの手になってくるでしょう。
各部署・職員の目標や課題を共有することから始める
それぞれの事業所の理念に沿ったよりより研修を行うためには、どのような計画が必要になるでしょうか。
それには、各部署・職員の目標や課題を共有することから始まります。理念の実現や組織・チームの課題解決のために「どのような学びが必要か」を検討していくことがスタートとなります。さらに研修の計画は、受講するスタッフにとっては、職務を通じて自己実現していくための成長の計画にもなります。チームの課題、個人の課題を整理して、誰がどのようなタイミングでどのような研修を受講するのがよいのかを整理しながら立案していくとよいでしょう。
そのためにも、研修計画立案の際には、スタッフと丁寧にコミュニケーションを図り、将来なりたい姿や日々の業務の中にある喜びなどを聞き取ることで、個々のニーズに合った研修内容のヒントが見えてきます。
「できる」は「自信」に変わる
スタッフは、「できる」が増えれば自信がついていきます。
研修も職種や立場に応じて、課題解決や成長を感じられるような実感を積み重ねて、組織や理念の具体化に近づいていると実感できるようにすることが大切になります。
スタッフは、法人の目指す理念の実現に貢献していること、さらには自らのキャリアの方向性が明確化することで、利用者や家族、地域や社会にも貢献している実感を持つことができるようになっていきます。研修は働きがいを高めることも期待できる重要な機会となるのです。
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