自己啓発支援など教育・研修費用を支出した企業で、翌年の労働生産性が向上する傾向に
介護職員(正規職員)について「キャリアアップの仕組みが整備されている」「介護能力を適切に評価する仕組みが整備されている」「介護能力の向上に向けた研修が整備されている」事業所に勤務している人ほど、定着意識(就労継続意識)が強くなっていることが明らかになっています。
55.3%が入社時の研修「受けていない」
介護業界だけでなく、国内では様々な業界で人材不足が懸念されています。介護業界が人材を安定的に確保し、活用していくためには、個々の人材の能力を発揮させるための人材育成に関する支援が欠かせません。しかし、パーソル総合研究所とベネッセシニア・介護研究所が実施した「介護人材の離職実態調査2017」では、入社時の研修について、55.3%が「受けていない」と回答。また、OJT(On the Job Training=職場内訓練)についても「受けてない」と回答した人が41.1%に上りました。また、どちらも受けていない人が全体の34.1%になるなど、入社時の研修やOJTなしに現場へ配属される人が一定数いる現状が見えてきました。
OJTなど研修/教育が生産性・売上に与える影響は
では、OJTを行っていくと、企業はどう変化するのでしょうか。
「平成30年版 労働経済の分析」では、OJTに関わる取り組みが多い企業と少ない企業を比較分析。OJTに関わる取り組みが多い企業の方が、「OJTがうまくいっており、職場の生産性が向上している」と認識している割合が高くなっています。
OFF-JT(Off the job Training=職場外研修)や自己啓発支援についても、費用支出が多くなればなるほど、翌年の売上高や労働生産性といった企業のパフォーマンスに対して、プラスの影響を与えることがわかりました。実際に、「OFF-JT」「自己啓発支援」へ費用を支出した企業では、翌年の労働生産性、売上高が向上しており、その効果を比較すると「自己啓発支援」のほうがより有効であることが明らかとなりました。
また、働く側のモチベーションや離職率とも、人材育成や能力開発は相関関係にあるといいます。同じ調査では、企業が能力開発に積極的に取り組んでいるほうが、仕事に対するモチベーションが上昇している社員が多いことがわかり、「計画的なOJTを実施している事業所」「OFF-JTを実施している企業」においては、正社員の離職率が低いことが明らかとなりました。
社員の能力開発はさまざまな副次的効果を産む
このように、社員の能力開発へ注力することで、さまざまな副次的効果が見えてくることが今回の調査で明らかとなりました。介護現場は忙しく、指導を担当する側の負担も大きなものになりがちではありますが、その一方で人材育成に力を入れることが長期的な組織の発展にもつながり、結果として一人ひとりの負担を軽減することにも繋がってくるという結果が示唆されました。
【参照・参考文献】
厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」
パーソル総合研究所、ベネッセシニア・介護研究所「介護人材の離職実態調査2017」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
介護職員向け医療教育サービス「Dスタ」
Dスタは介護職員向け1回5分の動画研修サービス。
5万件の医療相談をもとにした研修内容だから、現場ですぐ役立つ介護・医療知識が身に付きます。