介護職員一人あたりの年間教育研修費 平均10614円 全業界平均と比較して低い水準
介護職員(正規・非正規含む)一人あたりの1年間の教育研修費の全体の平均は10614円となりました。全業種あたりの教育研修費は一人あたり年間29904円(産労総合研究所2022)と、介護業界は全業種平均と比較して約3分の1となっています。
介護事業所で働く人にとっても、どのようにキャリアパスを構築していくかが重要視されてきています。事業所側も、キャリアパス制度を整備することによって、人材育成、雇用定着等を期待できると言われています。今回は、一般社団法人シルバーサービス振興会による、介護職員へのOJTにを通じた人材育成の取組み実態調査を紹介します。調査対象は、介護キャリア段位制度を用いてOJTを実施している全国の事業所のうち、1名以上のレベル認定者輩出実績を有する事業所の人材育成担当者(1290件)と、全国老人福祉施設協議会会員事業所、全国老人保健施設協会会員事業所、全国介護事業者協議会会員事業者です。
介護職員のキャリアパス制度 35%の事業所「整備されている」
事業所における介護職員のキャリアパス制度の整備状況について「整備されている」と回答した事業所は35%。「整備途上である」が48.7%と最も多く、今後整備を必要としている状況が明らかとなりました。
また「整備されている」と回答した事業所のうち、職位や職責を設定し、それらのポストに就くことができるか要件を84.5%が明確に明示していると回答。人事評価や賃金体系との連動、人材育成における研修計画との連動、介護技術評価との連動も8割以上が行っており、多くの事業所でフレームについては整備されてきていることがわかりました。
事業所における専従の教育研修担当者「いる」事業所はわずか13%
事業所における教育研修担当の人数について「いる」と回答したのは、10名以下の事業所で65.4%、31名以上の事業所では77.4%と12%の違いが見られました。またその人数については、「1名」が29.3%、「3~5名」が21.3%、「2名」が11.8%という結果となっています。これを「専従化」つまり、研修を専門とする職員を配置しているかどうかについても調査しています。法人において専従の教育研修担当者が「いる」と回答した事業所は30%ほどで、法人全体での教育担当者の専従化は難しい状況にあることがわかりました。
これを事業所の規模ごとに見てみると、10名以下の事業所では「いる」が30.8%、11~30名の事業所で37.0%、31名以上の事業所では24.2%と、職員数が多い事業所ほど、専従者の配置が少なくなる傾向が見られました。事業所において、教育研修担当者が「いる」と回答した事業所は70%ほどに上ったものの、その担当者を専従化していると回答したのはわずか13%と、介護事業所において教育担当者の専従化は困難な状況であることが見えてきました。
介護職員一人あたり年間の教育研修費 全体の平均は10614円
同調査では、介護職員(正規・非正規含む)一人あたりの1年間の教育研修費についても分析しています。
10名以下の事業所では平均4079円、11~30名では13895円、31名以上では8197円、全体の平均は10614円となりました。これを、1年目の介護職員に対する教育研修費と2~3年目の介護職員に対する教育研修費の状況について詳しく見ていきます。すると1年目の介護職員に対する教育研修費は、全体平均の1.3倍、2~3年目は全体平均と同等額となり、経験年数が経過するごとに教育研修費が減額していく傾向も見られました。これは、OFF-JT、OJTどちらにも共通しており、OFF-JTについては1年目平均が9019円、2~3年目が6874円と約4分の3に、OJTについては1年目平均が2990円、2~3年目が1135円と半額以下となっています。全業種あたりの教育研修費は一人あたり年間29904円(産労総合研究所2022)と、介護業界は全業種平均と比較して約3分の1となっています。
フレームの整備は進みつつありますが、今後はその内容について充実させていくことが課題となってくるでしょう。
【参照・参考文献】
一般社団法人シルバーサービス振興会「介護サービス事業者におけるOJTを通じた介護職員の人材育成のあり方に関する調査研究事業」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
介護職員向け医療教育サービス「Dスタ」
Dスタは介護職員向け1回5分の動画研修サービス。
5万件の医療相談をもとにした研修内容だから、現場ですぐ役立つ介護・医療知識が身に付きます。