研修やキャリアアップの仕組みが介護職員の定着意識を強くする
介護職員(正規職員)について「キャリアアップの仕組みが整備されている」「介護能力を適切に評価する仕組みが整備されている」「介護能力の向上に向けた研修が整備されている」事業所に勤務している人ほど、定着意識(就労継続意識)が強くなっていることが明らかになっています。
介護業界に限らず、仕事においてモチベーションを上げるためには、金銭面や役職等の待遇面の整備だけでなく、意欲や興味関心を高めていくことも大事だと言われています。厚労省は、介護業界における人材確保・人材定着を図るために、2007年に「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針(福祉人材確保指針)」を改定しました。この福祉人材確保指針で示された「労働環境整備の推進等」(介護福祉士や社会福祉士等の専門性の高い人材を配置した場合の介護報酬等による評価の在り方について検討を行うこと)の一環として、2009年には介護保険サービス事業及び障害者サービス事業において、従事者の処遇改善を主旨とした報酬単価の改定が行われました。さらに同年10月からは「介護職員処遇改善交付金」がスタートし、2010年には「キャリアパスに関する要件」が新設、2012年4月からは介護職員処遇改善加算が介護報酬に創設されて、現在にも引き継がれています。
介護職員の43.8%「介護能力の向上に向けた研修が整備されている」
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「介護人材を活かす取組―キャリアップと賃金」(2017年3月)では、介護労働者の定着意識とキャリアアップの仕組みの関係を分析しています。
この分析では、介護職員(正規職員)について、
・キャリアアップの仕組みが整備されている
・介護能力を適切に評価する仕組みが整備されている
・介護能力の向上に向けた研修が整備されている
事業所に勤務している人ほど、定着意識(就労継続意識)が強くなっていることが明らかになっています。
組織(事業所)において「キャリアアップの仕組みが整備されている」と回答した介護職員(正規職員)は34.7%、「介護能力を適切に評価する仕組みが整備されている」と回答した介護職員(正規職員)は31.7%、「介護能力の向上に向けた研修が整備されている」と回答した介護職員(正規職員)は43.8%でした。
研修等のキャリアアップの整備と上司によるアフターケアの仕組み化を
レポートでは「介護職員(正規職員)の定着に関しては、能力に見合った仕事に配置し、仕事に必要な能力が不足しているのであれば能力の向上に向けた研修を行い、さらに、能力を評価する仕組みを整備し、その結果を踏まえて、介護職員(正規職員)が1つの組織のなかで、キャリアを形成していくようなキャリアアップの仕組みを整備することが重要であることがわかる」と分析されています。
また、職員の中には、1つの組織の中でキャリアを積んでいくというのではなく、職能別労働型の働き方を意識しながら、複数の組織の中でキャリアを積んでいきたいと考えている人も少なくありません。こうした人たちに対しては、介護能力を適切に評価する仕組みや介護能力に見合った仕事への配置が定着には大切であるとこのレポートでは分析しています。
さらに、正規、非正規に関係なく、働き方やキャリアについて上司と相談する機会や指導・助言を受ける機会の設定が行われていることも定着には関係があることもわかっています。人材を確保した後は、研修等のキャリアアップの整備を図ると共に、上司によるアフターケアの仕組みを整備することも重要となってくるでしょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「介護人材を活かす取組―キャリアップと賃金」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
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5万件の医療相談をもとにした研修内容だから、現場ですぐ役立つ介護・医療知識が身に付きます。