ケアマネの求人倍率が4倍超に その原因・背景は?
厚生労働省が5月30日に全産業の有効求人倍率を発表しました。2022年度の全産業有効求人倍率は1.31倍で、前年度と比較し、0.15ポイント上昇となりました。介護サービスの有効求人倍率は、3.44倍となっており、全産業と比較しても高い水準となっています。介護職はどの職種も比較的有効求人倍率が高く推移していますが、特にケアマネジャー(介護支援専門員)の有効求人倍率は2022年12月時点で4.04倍と4倍を超えており、人材の確保がとても難しい状況であることを示しています。
ケアマネになるためにはどんな経験・資格が必要?
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、2000年の介護保険制度のスタートと共に定められた職業で、国家資格ではなく、都道府県ごとに登録・管理されている公的資格です。介護が必要な人に対して、個々のニーズに応じた介護サービスを提供するために、アセスメントを行い、どのようなサービスが必要かを判断し、ケアプランを作成するのがケアマネの主な業務です。
ケアマネになるためには、各都道府県で実施されている試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。受験するためには、(1)または(2)の業務に通算5年以上かつ900日以上従事することが要件となっています。
(1)以下の国家資格等に基づく業務
医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師/理学療法士/作業療法士/社会福祉士/介護福祉士/視能訓練士/義肢装具士/歯科衛生士/言語聴覚士/あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師/栄養士/管理栄養士/精神保健福祉士
(2)以下の職種で該当する施設等でおこなう相談援助業務
生活相談員…特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、一部のサービス付き高齢者向け住宅)/地域密着型特定施設入居者生活介護/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護/介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)/介護予防特定施設入居者生活介護
支援相談員…介護老人保健施設
相談支援専門員…計画相談支援/障害児相談支援
主任相談支援員…生活困窮者自立相談支援事業
条件の厳格化で受験者数が大幅減
2018年度の制度改正によって、ケアマネの資質向上を目的としてこれまで受験資格として認められていた「5年以上の実務経験を持つ介護職員初任者研修修了者」等や「10年以上の実務経験を持つ無資格者」が削除されています。これによってケアマネ試験の受験者数は大幅減(2017年度の受験者数約13万人に対し、2018年度は4万9千人)、合格率も2018年度は10.1%と過去最低となりました。2022年度の受験者数は約5万4千人で、2017年度と比較すると約4割となっています。これからさらに人材不足が深刻化するのではと業界では懸念も広がっており、「一定の実務経験を有する介護職員等の受験を再度認めるべきではないか」との声も挙がっています。加えて、処遇改善施策が進んだ結果、「給与を上げるためにケアマネになる」というモチベーションが起きにくい状況も生まれています。
現在、ケアマネ試験合格者の職種として最も多いのは介護福祉士(44.2%)、次いで看護師・准看護師(23.9%)です。介護職員への研修などを通じて、介護福祉士資格を取得→ケアマネジャー資格取得等、キャリアアップを支援していく仕組みが今後ますます重要となってくるのではないでしょうか。
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
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5万件の医療相談をもとにした研修内容だから、現場ですぐ役立つ介護・医療知識が身に付きます。