「認知症介護基礎研修」特養で効果の実感高く
令和5年10月11日、社会保障審議会介護給付費分科会(第227回)が行われました。その中で「認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究」の結果が発表されています。前回に引き続き、その内容をご紹介します。
令和3年度の介護報酬改定で、介護に直接関わる職員のうち、医療や福祉関係の資格を有さないスタッフへの受講が義務付けられることになった「認知症介護基礎研修」(3年間の経過措置期間を経て練和6年4月に完全施行)。令和4年度には、認知症介護研究・研修仙台センターの運営するeラーニングシステムを都道府県、指定都市等の95.6%が利用しています。この調査では、認知症介護基礎研修の終了状況の現状や効果等を検証してます。
約半数が「知識の習得」「考え方・ケア方法の変化」に効果あり と回答
認知症介護基礎研修を受講したことによる効果について、研修修了者の回答から見てみます。実際に効果があったと感じたのは「ケアに関する知識の習得」45.5%、「ケアに関する考え方の変化」44.5%、「ケアの方法の変化」40.4%となりました。一方、管理者からの回答で効果があったと感じるものは「ケアに関する知識の習得」21.8%、「ケアの方法の変化」15.8%でした。
「ケアに関する知識の習得」について、事業種別で一定の差が見られ、効果があったと回答した割合は介護老人福祉施設は50.5%で最も高く、小規模多機能型居宅介護の38.7%が最も低い結果となりました。
「ケアに関する考え方の変化」では事業主別間での差はほとんど見られませんでしたが、「ケアの方法の変化」については、介護老人福祉施設が44.0%と最も高くなり、小規模多機能型居宅介護が34.2%と最も低い結果となっています。
研修では認知症の方本人のインタビュー映像によって、認知症の人の想いや気持ち、実際の生活の様子を知り、一人ひとりの個別性やできることが違う点を知る機会を設け、「認知症」と一括りにしない視点や尊厳の保持等の理念や考え方を学習しています。こうしたケアに関する知識の習得状況について、個別項目ごとに理解度も尋ねています。全体的に5割前後が「理解できた」と回答、「やや理解」も含めると、9割超と、肯定的な意見が多くを占めました。「ケアに関する知識」の習得状況について、事業種別ではその割合に大きな差は見られませんでした。
「ケアに関する考え方の変化」についても、個別項目ごとに理解度を尋ねています。研修内で重点的に触れられている「一人ひとりを尊重することが大事だと思うようになった」「認知症の方本人の声や気持ち・思いを確認することが大事だと思うようになった」の理解度が約7割、全体的な理解度も9割を超えていました。こちらも事業種別ではその割合に大きな差は見られませんでした。
管理者も研修修了者の変化を実感
また、研修では、介護の事例動画を用いた認知症の方との適切なかかわり方等について、自分の意見を記入する自己ワークが導入されています。能動的にケア技術を学ぶ方法が取られていることについて、ケアの方法へ変化があったかを問うています。個別項目ごとに尋ねた結果、研修内で重点的に触れられている「本人の話をよく聴くようになった」、「適切な表情や態度を意識しながら行うようになった」「利用者への言葉づかいを変えるようになった」の項目において、5~6割が「変化があった」と回答しました。こちらも事業種別ではその割合に大きな差は見られませんでした。
管理者から見た職員が研修を受講したことによる効果についてもここで触れてみます。研修を終了した職員の変化を、管理者はどのように感じているのか。「積極的に認知症の利用者に関わるようになった」が20.6%、「利用者の言動とこれまでの生活を結びつけて考えるようになった」が15.3%、「チームケアを意識するようになった」13.1%と管理者からも修了者の変化を実感していることが明らかになりました。
社会保障審議会 介護給付費分科会(第227回)「認知症介護基礎研修受講義務付けの 効果に関する調査研究事業 (速報値)」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
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