施設長の約半数「次世代の指導的職員となる中堅職員が育っていない」
東京都社会福祉協議会が5月に発表した「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着に関する調査 2022」では、3556の施設の施設長、指導的職員、初任者職員等に対して人材育成に関する調査を行っています。
この調査で、施設長の約半数が「次世代の指導的職員となる中堅職員が育っていない」と感じている一方、指導的職員は9割が「指導に関する専門性」が必要と回答。さらに8割が「育成や指導に関すること」で悩んでいると答えています。
人材の定着のために行なっていることについては、「休暇の取得促進・新設」に取り組む施設が7割を超え、処遇改善や多様な働き方も半数以上に上っています。指導的職員が長く勤めている決め手となるのは「やりがい」や「人間関係」「休暇取得しやすい」などが上位に入っています。
一方で実際に働き始めた初任者職員は、職場に対するイメージが「有給取得」や「社会的評価」「職場の雰囲気」等で働く前と比較して良くなっています。やりがいや専門性などは働く前からイメージがしやすいものですが、有給が取りやすいことや社会的評価、職場の雰囲気がよい、離職率が低い等は、働く前のイメージとは異なる可能性もあり、求職者に向けて今後アピールが必要な項目といえるでしょう。
専門性を高める研修の実施や育成も含めた体制の整備が急務
日本国内の総人口は2005年をピークに減少していますが、その一方で高齢化率は上昇しています。2025年には高齢化率は30%を超え、2065年には38.4%に達し、約2.6人に1人が65歳以上となると言われています。
少子高齢化が急速に進む中で、現役世代(20~64歳)の働き手不足が深刻化しています。『令和4年版厚生労働白書』によれば、介護関係職種の有効求人倍率は3.64倍(2021年)。これは2005年の1.38倍と比較しても大幅に上昇しています。また、東京労働局が発表した2023年3月の介護サービス職業(施設介護員、訪問介護員等)の有効求人倍率は5.86倍。全職業の合計1.49倍を大きく上回っています。
多様な人材が集まる福祉業界だからこそ、新任の職員を定着させることと、指導的職員の育成を同時に行うことで、組織としての好循環を生み出していく必要があります。指導的職員としての専門性を高める研修の実施や育成も含めた体制の整備が今後も期待されます。
【出典】
東京都社会福祉協議会「地域福祉推進に関する 提言 2023」
\職員教育をeラーニングで仕組み化/
\人的コストが大きい研修準備業務を大幅カット/
ドクターメイトの
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