介護職員初任者研修は働きながら取得できる!具体的な方法と注意点
介護士のキャリアの第一歩と言えば「介護福祉士初任者研修」です。
介護士を目指している人や、現在介護施設で働いている人の中には、初任者研修は働きながらでも取れるのか疑問に思っている人も多いですよね。
この記事では、初任者研修を働きながら取得できる理由やその方法、取得する際の注意点についてわかりやすく解説します。
最後まで読めば、現在働いている人もスムーズに初任者研修を取得できるはずです。
介護福祉士初任者研修は働きながら取得できる理由4つ
結論から言って、介護福祉士初任者研修は介護関連の研修・資格の中でも働きながら取得しやすいと言えます。
ここではその理由を4つ解説します。
1.全カリキュラム130時間のうち1/3は通信で学べる
理由1つ目は、研修カリキュラム全130時間のうち1/3の40.5時間までは通信講座で受講できる点です。
仕事が忙しくスクーリング(通学)の時間があまり取れない人にとって、通信で受講できるカリキュラムが多いのは嬉しいポイントですよね。
逆に言えば、全カリキュラムの2//3にあたる89.5時間はスクールに通って受講する必要があります。初任者研修は完全に独学での取得はできないこともチェックしておきましょう。
2.スクールがたくさんあるから自分の生活に合ったコースを選べる
理由2つ目は、スクールがたくさんあるため自分の都合に合った場所・時間に受講しやすいという点です。
初任者研修は介護関連の資格・研修の中でも一番最初に受けるという人も多く、人気があるため全国のたくさんのスクールで受講コースが組まれています。
そのため、職場や自宅の近くのスクールで、平日のみ・土日のみなど都合のいい時間のコースを見つけやすいです。
3.修了試験の勉強はほぼ不要
理由3つ目は、修了試験の難易度が低く、試験勉強の時間を確保する必要がほぼない点です。
初任者研修には修了試験がありますが、難易度は低く、もし合格点に満たなくてもほとんどのスクールで再試験が実施されています。
きちんと研修を受講していれば間違えずに解答できる内容なので、仕事の合間を縫って試験勉強をすることは不要です。
4.会社で費用を負担してくれることがある
理由4つ目は、介護施設で働いている場合、施設が研修費用を負担してくれることがある点です。
初任者研修を取得する為の費用は、スクールや自治体の補助金の有無などで差があるものの、一般的に4万~15万円ほどかかります。
介護施設で働いている場合、運営している会社によっては資格取得のための費用を負担してくれることもあります。
自分が働いている施設に資格取得のための助成金制度があるかどうかチェックしておきましょう。
介護福祉士初任者研修を働きながら取得する方法
ここからは具体的に介護福祉士初任者研修を働きながら取得する方法を紹介します。
職場や自治体から補助金が受け取れるか調査
まずは、勤務先の介護事業所や、事業所がある地域の自治体から、資格取得の補助金が出るかどうか確認しましょう。
自治体から補助金をもらいたい場合、自治体の公式ホームページに情報が掲載されています。(補助金がない自治体もあります)
現在勤めている介護施設に補助金制度があるかどうかは、上司または事務・総務担当者に確認しましょう。
自分の都合に合ったスクール・コースを選択する
初任者研修は独学では取得できません。初任者研修を受講できるスクールに申し込みが必要です。
働きながら受講したい場合、仕事後にスクールに通うなら職場近くのスクールを、休日にスクールに通うなら自宅近くのスクールを探しましょう。
また多くのスクールでは複数のコースがあり、週末だけ通う「土日コース」や、週に1回だけ通う「週1コース」などから選択できます。
自分が無理せずに通えるスクールとコースを選択しましょう。
通信講座は空き時間や休日に受講
初任者研修のカリキュラム全体の1/3にあたる40.5時間までは、通信での受講が認められています。
通信講座は隙間時間や休日を使って計画的に受講しましょう。
また通信授業にはレポート提出が3~5回ほどあることが一般的です。レポート課題を作成する時間も確保してスケジュールを組みましょう。
働きながら初任者研修を取得するときの注意点3つ
働きながらスムーズに初任者研修を取得するために、頭に入れておきたい注意点を紹介します。
1.スクーリングは計画的に受講する
注意点1つ目は、スクーリング(通学)は計画的に受講することです。
働きながらスクールに通う場合、仕事のシフトやその他の予定と受講日が重ならないようにスケジュール管理に気をつけましょう。
ほとんどのスクールでは授業の振替が可能ですが、振替回数に制限があったり、スクールに通える期間が限られていることもあります。
振替を繰り返していたら予定より取得に時間がかかってしまった…ということがないように、カリキュラムの受講は計画的に行いましょう。
2.振替しやすいスクールを選ぶ
注意点2つ目は、振替しやすいスクールを選ぶことです。
働きながら通学で資格を取得する場合、想定外の残業や緊急でシフトが変更になるということもあります。
その場合、予定していた通学は別日に振替してもらいますが、振替授業は有料だったり、振替可能回数が限られているスクールもあります。
働きながら初任者研修を受ける場合は特に、スクールを選択する際は振替制度が整っているか確認しておくとよいでしょう。
3.初任者研修を受講していることを職場に伝えておく
注意点3つ目は、初任者研修の取得予定がありスクールに通うことを職場に伝えておくことです。
シフト制の職場の場合、通学に合わせてシフトを調整してもらう必要があるため、事前に伝えておくと親切です。
また介護施設に勤めている場合、勤務先に資格取得の補助金制度がある可能性もあります。事前に上司や先輩に相談しておくとアドバイスをもらえることもあるでしょう。
介護福祉士初任者研修とは?カリキュラムやメリットを確認
そもそも初任者研修とはどんな資格なのかよくわかっていない…という人のために、カリキュラムやメリットについて解説します。
介護職員初任者研修は、厚生労働省の資料で次のように定義されています。
初任者研修は、在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を修得する研修とする。
引用:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」
初任者研修は介護業界未経験、無資格でも受講でき、介護の基本知識と技術を習得できる研修です。
介護職員としてスキルアップ・キャリアアップを考えている人の、一番最初に受講する研修としてもおすすめできます。
次の表に、初任者研修の概要をまとめました。
介護職員初任者研修の概要 | |
内容 | 介護の知識・技術の基本を学ぶ |
受講するための資格 | なし |
受講する方法 | スクールで既定の全講座を受講 |
受講費用 | 4~15万円程度 ※スクール・コースによって異なる |
受講時間 | 130時間 |
受講期間 | 1ヶ月~4か月(スクールやコースによって異なる) |
試験内容 | 選択式・記述式 32問以上 |
受講するメリット | キャリアアップの最初の一歩を踏める身体介護ができる訪問介護士として働ける |
初任者研修のカリキュラム
初任者研修のカリキュラムは全10科目、合計130時間です。
このうち40.5時間は通信講座で受講が可能で、残りはスクーリング(研修実施校に通って講義を受ける)で受講します。
カリキュラムには介護の基本知識を学ぶ講義と、技術を学ぶ実技演習の科目があります。
次の表にカリキュラムの詳細をまとめました。
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
このカリキュラムは厚生労働省が決めているもので、全国各地にある研修実施校で共通になっています。
介護職員初任者研修を受けるメリットは5つ
介護職員初任者研修を受講するメリットは、次の5つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
1.介護職員のキャリアアップの第一歩を踏める
メリット1つ目は、初任者研修は介護職員としてのキャリアアップの第一歩になる点です。
介護職員のキャリアアップについては、厚生労働省の資料に次のように記載されています。
介護人材の養成体系を整理し「初任者研修修了者→介護福祉士→認定介護福祉士」をキャリアパスの基本とする。
この記載から分かる通り、初任者研修の修了は介護職員のキャリアアップのスタート地点だと言えます。
2.訪問介護士として身体介護ができる
メリット2つ目は、訪問介護士として身体介護ができるようになることです。
介護施設では複数の介護職員が分担して行うことができますが、訪問介護士の場合介護サービス利用者の自宅に単身で行くことが多いため、一人で必要な介護サービスをすべて行える必要があります。
そのため訪問介護士は初任者研修修了以上を求められることが一般的です。
3.就職・転職時に有資格者として有利になる
メリット3つ目は、就職・転職時に有資格者として有利になることです。
介護業界に限らず、現場では常に即戦力になる人材を求めています。
採用担当者にとって、応募者が初任者研修修了を始めとした資格を持っていることは、介護に関する知識や技術があることの証明です。
実際の求人でも、無資格者と初任者研修以上の資格保有者では給与などの待遇面が異なったり、正社員採用の条件になることもあります。
初任者研修を修了していることは、全国の介護事業所で就職・転職時に有利になると言えます。
4.給与アップが期待できる
メリット4つ目は、給与アップが期待できることです。
厚生労働省が行った令和3年度介護従事者処遇状況等調査によると、初任者研修修了者は無資格の人と比べ、29,250円も平均月給が多くなることがわかりました。
次の表に令和3年9月時点の保有資格別の平均月給をまとめました。
保有資格 | 令和3年9月平均月給 |
介護福祉士 | 328,720円 |
実務者研修 | 307,330円 |
初任者研修 | 300,510円 |
保有資格なし | 271,260円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」
このように、上位資格になるにつれて給与も上がっていくことがわかります。
また、施設によっては資格手当が付与されることもあります。
5.家族の介護など仕事以外でも生かせる
メリット5つ目は、初任者研修で得られる知識や技術は、家族の介護など職場以外でも生かせることです。
初任者研修で学ぶ介護の基本知識や技術は、実生活で高齢者と関わるシーンでも役立ちます。
実際に、仕事ではなく家族介護をきっかけに初任者研修を受ける人も多くいます。
介護関連全般に言えることですが、得られる知識と技術は一生ものだと言えるでしょう。
働きながら介護福祉士初任者研修を取得したい人のよくある質問
Q.無料で介護職員初任者研修を取得する方法はあるの?
A.初任者研修を無料で取得する方法としては次のものがあります。
・退職後、ハローワークで失業保険をもらう手続きを行い、職業訓練に申し込み取得する
・地方自治体の助成金制度を利用する
・勤務している介護施設の助成金制度を利用する
利用できる制度があるか、地方自治体または勤務先に確認しましょう。
Q.最短でどれくらいで取れる?
A.初任者研修は最短で約1か月程度で取得できます。
ただし、週3~4回ほどスクールに通いレポート提出なども同時提出で行う必要があるため、時間に余裕がある人や空き時間を最大限に利用して最短で資格を取得したい人向けのスケジュールだと言えます。
Q.介護職員初任者研修の難易度はどれくらい?
A.初任者研修の合格率はほぼ100%で、修了試験の内容も易しく、難易度はかなり低いです。
ただしカリキュラムは全130時間ありレポートの提出も複数回あるため、時間と労力をかけず楽に取れる資格ではありません。
Q.介護職員初任者研修を取得したら給料は上がりますか?
A.給与に資格手当がついたり、有資格者として基本給が上がることが多いです。
上がり幅は勤めている施設により異なりますが、厚生労働省が令和2年に行った調査データによると、無資格者と初任者研修取得者を比べると月収で約2.5万円の差があることがわかっています。
参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果概要」
【まとめ】初任者研修は働きながら取れる!
この記事では介護福祉士初任者研修を働きながら取得したい人のために、その方法や注意点などを解説しました。
最後に記事の内容をおさらいします。
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▼初任者研修が働きながら取得できる理由
2.スクールがたくさんあるから自分の生活に合ったコースを選べる
▼初任者研修を働きながら取得する方法
▼初任者研修を働きながら取得する上での注意点
ぜひこの記事を初任者研修の取得に役立ててください。
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